リレーエッセイ「私の育自」

リレーエッセイ スタート

HPのリニューアルに合わせて、育自の魔法のファシリテーターによるリレーエッセイがスタートしました。スタートに際しては、育自の魔法を作った者で、代表理事として「ひとみさんお願いしますねー」と依頼されることが多いので、予想に違わず、私からエッセイを書かせてもらいます。

誕生

育自の魔法は、埼玉県川越市で生まれました。まだ育自の魔法という名前もつく前、「トーク&トーク」という本音を喋ろうという1回きりの予定の子育てママ向けの講座でした。
最初に開催したのは2003年7月7日。20組以上の親子がいて、当時は母子同室での講座でした。
赤ちゃんを抱っこしているお母さんもいれば、部屋中を駆け巡る2、3歳児もいて、相当騒がしい中、それぞれが「自分」について話しました。企画段階で「お互いを知りあうには、自己紹介だよね!」ということで、自分のことを話すことにしたのです。
子どもがいるので、長々話せず、なんとか工夫して2時間に収めました。
自己のことを話す以上のことができなかった。しかし、それがのちにとてもいい効果をもたらしました。
2回目からは、公民館の職員さんの計らいで、託児をつけてもらえることになり、それ以降、川越市での育自の魔法は、いつも託児付きです。託児の限界が2時間ぐらいで、そのために、育自の魔法は2時間で完結しなければなりません。逆に短時間で受けられるようになりました。

自分のことを話すには結構なハードルがあるもの。

しかし、一旦、安心で安全な場であれば、みなさん、自分のことを話すのが止まらなくなります。自分の人生を語る持ち時間はお一人7分間ですが、人生半ばまで話したところで、時間切れということもままあります。それがまた、その人の人生の転機になるところ、いいところで「時間でーす」と切られてしまう。「ああ、もっと聞きたい!」というところで終了。

でも、これがまたいい効果をもたらすのです。周りの人たちは、もっとその人のことを知りたくなる。私はもっと自分のことを話したくなる。好奇心が湧いてくるのです。すると、講座終了後、参加者同士お互いの連絡先を交換したり、終わった後にお茶したり、次に繋がります。逆に「十分に話したー、聞いたー」という満足感があると、それで「さよならー」ということがよくあって、なかなか繋がらない。

育自の魔法は、自分のことを話しながら、他者とつながっていくことを願っています。現代は、人との分断が著しく、自分がどう思われているのか?気になってしまうから、余計なことは話せない。ネットでは匿名性もあって言いたい放題ということがあったりする。

でも、リアルに人とつながることができると、本当に心から満たされます。

約束

そういった、リアルに人が集まっても安心して話せるように工夫しているのが、育自の魔法なのです。魔法とは、そういう安心安全な場づくりのことだと言えます。そのための講座での約束を徹底しています。

自分を大事にしよう
相手を大事にしよう
お互いを大事にしよう
この場を大事にしよう

この約束を全員で合意します。
話したければ話す。
話したくなければ、話さない。
自分の感覚に従って話す、話さないを自分で決められる。
でも、なんか話しても大丈夫かも??という時には、ぜひ話してくださいねとお伝えしておくと、自分が思ったよりも深く話していたりして、参加者自身が驚いたりする。
しかし、周りはあたたかく受け止めてくれる。
それにまた驚き…。
人はこんなにもあたたかいものなのだということを肌で感じられるのが、育自の魔法です。

自分の感覚を信じて話す。
受け止めてくれる周りの人々。
人を信じていいのだと感じられる瞬間。
それがあって初めて人は繋がってゆけるのだと思います。
自分を大事にすると、人とも繋がってゆける、
すると、地球は持続可能になってゆく。
それを目指して、NPO法人育自の魔法は、活動しています。