リレーエッセイ「私の育自」

映画『マトリックス』と育自とJOY∞JOBと

◆ Free your mind. 心を解放しろ
映画『マトリックス』をご覧になったことがありますか?
何が、心に一番残りましたか?
わたしはなんと言ってもこのセリフでした。
そしてこれこそが「育自」をする上で最も大切なことではないかな?と思っています。

『マトリックス』に出てくる名セリフで「育自」の本質に迫っていきたいと思います。

今年20年ぶりに各地で特別上映があり、私も4D上映劇場で初めて観ることができました。
今でいうAI世界と現実が逆転する世界、当時の画期的な映像技術、そして主演キアヌ・リーブスが銃弾を避けてのけぞるあのシーン…
そんな近未来のSF映画というのが、観る前のおおよその印象です。

刺激的な画面を追いかけながら風や水しぶきが吹き出す揺れる座席で、わたしは主人公が迷いながら「気づき」を得ていくプロセスにどんどん引き込まれていきました。

すべては思い込みかも知れないという現実をつきつけられた時、人は何をよりどころにするのでしょうか?

◆ What is real. 現実とは何だ
わたしたちが「現実」と思っている、目に映るもの、音、香り、味、肌の感触などすべての感覚は「脳のシグナル」によってイメージされ作られたものとも言えます。

自分が今ここで感じているこの感覚でさえ、脳で作られるシグナルという不確定なものだとしたら現実ってなんでしょう?
本当の世界、本当のわたしって何?

その上、わたしたちは家族や友人関係、職場などさまざまな社会環境の中で知らず知らずのうちに、ある種の「自分像」あるべき姿、常識など価値観という服を幾重にも着てしまっています。ほとんどの場合、そのことに気づきもせずに。

誰も裸の自分を知らないかもしれません。
いわゆる本来の自分、本来の資質、才能、能力、気質をです。

「わたしはこういう人だ」と言えることのほとんどが、人から今までに言って貰ったことではありませんか?

◆ Your mind makes it real. 君の思い込みがそれを現実にするのだ
わたし自身も少し前まではこの客観的っぽい判断こそが自分の資質を言い当ててると思っていました。
もちろんそのすべてが間違いというわけではありません。
けれど、外からの情報とすり合わせしただけで、自分の中との答え合わせをせずに思い込んでるだけかもしれません。
その答えが本来の自分なら良いですが、ズレていればどこかで違和感を感じたり心身にアンバランスを起こすかもしれません。

人は確かなものを得たいと思うがゆえに、自分の直感にフタをしたり、心の声を聴かずに、見慣れたように世界を見てしまいます。
そうやって世界や他人をやすやすと信じるのに、一番肝心の自分自身を信じることが出来ないでいることが多くないでしょうか?
まるで信じることを拒絶しているかのように。

だからこそYour mind makes it real.
「ダメだと思えばダメだし、できると思えばできる」ということを思い出さないといけません。

◆ Because I believe in something. なぜなら僕もまた『何か』を信じているからだ
サムシング!もうサムシングなんですよ!もはやなんら根拠なく『何か』を信じているということです!
それは、つまり『何か』を信じる自分を信じることだと思うのです。

「育自」=自分を大事にすること=自分を信じること。

それは人の判断や意見を聞きつつも、なにものにも左右されない自分自身のまっさらな物差しを持っていることではないでしょうか。

その時に最も重要なことが“Free your mind ”心をひたすらに解放し純粋に『何か』を信じることだと思うのです。

◆ JOY∞JOB ジョイジョブ
「育自」とは自分を大事することであり、自分を大事している仲間を大事にすることでもあると思っています。
それは個性を大切にしながら、それぞれの能力や可能性を活かし合う多様性のある世界だと思っています。

わたしが所属している京都・西院の「NPO法人ひととひと」では、その「育自の世界観」を仲間とともに大切にしています。

仲間とともにこれから創っていきたい世界を考えるなかで「JOY∞JOB ジョイジョブ」という合言葉が生まれました。
そこには豊かに生きるための喜びからつくる活動、まさに一人一人の喜びを大切するという想いが込められています。