リレーエッセイ「私の育自」

いま「本当の人生」を生きる

 

「いま私は幸せです」

そう言い切れます。

このエッセイを引き受けて改めて考えてみると、最近の私の日々の生活、そして還暦後の生き方自体が、「育自」そのものだと思えるのです。日々健康で、毎日好きややりたいことを楽しみながら、ライフワークを実践し、家族にも恵まれているからです。

どうして、意識した「育自」ではなく、自然とそうなっているあり方が、いまここにあるのでしょうか?

このエッセイは、私の長い自己紹介となります。今回は、育自のための小さな魔法の3つのワークショップになぞらえて紹介します。(パート1 自分の人生を語る、パート2 自分の好きなことを語る、パート3 自分の未来を語る)

 

まず、基本情報から。

私は、立岡里司(たちおかさとし) 63歳です。
本名よりも、いまはSol(ソル)という名前で生きています。

定年退職までは、香港、ドイツ、カナダの現地法人に出向したこともあるグローバルビジネスマンでした。カナダに赴任する以前に、アメリカ人に付けてもらったのがSolです。もともとは、SolutionのSolでした。当時そんな仕事をしていたSで始まる名前だったからです。

それを引き続き日本でも使っていますが、今は意味が違います。
Solはラテン語、スペイン語などで「太陽」です。

Solの自己紹介のときに、私はこう言っています。
太陽のような人ってどんな人?
「それは、自分に優しい人。だから、人にもやさしくできる。」

 

パート1: Solの人生を語る

Solのライフラインはこれです。

50歳くらいまで、仕事中心の独りよがりの人生でした。
家族がらみで2008年に大きな試練に陥り、そこで大きな気づきを得ることができました。
それを機に、何事も期待せず、自分にできることをやっていこうと思い、行動を変えました。そうすると、状況は、目に見えて改善していきました。

詳しいことは書きませんが、キーワードをひとつだけ言えば、それまでの人生は「感謝のない人生」、それ以後は「感謝することを知った人生」です。
その直後、カナダに赴任しました。

 

会社を離れたときの自分とは何者か?

約3年単身赴任を過ごして帰国後、この問いを持ったことで、新たな扉を開くことになります。会社の肩書しかない自分、会社以外に人とのつながりのない自分がそこにいたのです。

定年退職後は、健康で長生きしたい。その時どうする? 何をする?

大卒で入社、60歳で定年。毎日通勤時間を含めた会社に費やす時間を12時間/日とし、週休2日と祝日や年休を入れて、年間230日働くとします。38年間の会社に拘束された時間は、12x230x38=104,880時間です。
定年退職後はサンデー毎日なので、寝る時間を除いた自分の時間は、16時間/日、80歳までの現役時代の半分の20年間に、自分の時間は、16x365x20=116,800時間もあるのです。

それを考えたとき、「会社人」から「社会人」になろうと思いました。
会社以外の人とのつながりが、これからの人生に欠かせないと思ったからです。
生まれて初めて、自ら望んで会社の外の集まりに参加したのが、2012年5月19日です。自分を受け入れてくれる場があって楽しくなり、タガが外れたように、それからいたるところに行きました。

いろんなことをしてきました。
それらすべてが今のSolの糧になっています。
そして、いま、こんなSolがいます。8月の誕生日に書いたものです。
https://solcafe.hatenablog.com/entry/2020/08/15/181754

よく覚えていませんが、2014年頃から、仲間と集まって、おいしい食事をして、おいしいお酒を味わい、テーマのない対話をするSol Caféを始めました。本当においしいお店(素材がいい、心をこめた料理、親しみのあるおもてなし、ステキな雰囲気)を知っていたり、紹介し合ったりして、けっこう人気の集まりでした。いまも、裏山でSol Caféとして、山歩き・銭湯・食事をほぼ月一回やっています。

そこから出てきたのは、

  • 「まずは自分が満たされること」「自分が幸せを感じること」、ある意味それだけでいい。
  • 自分の幸せのオーラが周りの人を幸せにし、その連鎖で世界中の人が幸せになる。
  • すなわち、「みんなが人間らしい人生を生きている社会」を生み出すのは、自分の幸せから始まる。

そういうことでした。

そして、私の想いにぴったり一致する「育自のための小さな魔法」に出会ったのは2016年です。とくに、「育自と社会貢献の関係性モデル」は、その通りだと思いました。すぐに養成講座に申し込んで、2017年の春には、ファシリテーターの認定をいただきました。

 

パート2: Solの好きを語る

好きなことはいくつもありますが、主な二つはこんなことです。

まずは、「書いて発信すること」です。
毎日のように何かを書いては、ブログに上げたり、Facebookのタイムラインや、先にリンクしたブログに入れた他の3つのFacebookページにアップしています。

書くのが好きだから、本もたくさん読むし、「Sol Cafeノート」という日記も書き続けています。「死ぬまで健康で学びつづけたい」という思いは、ねばならないではなく、好きだからできることだと思っています。

健康についても、健康でありたいというより、好きで楽しいことをすることが心身の健康につながると思います。健康的な食生活をするというより、日々おいしく食べるということが大事だと思いますし、運動も楽しんでやるのがいいと思っています。「健康である」というのは、その結果です。

二つ目は、「散歩と小さないのちの撮影」です。
野山や公園を歩くだけでなく、いつもカメラを持っていき、道端の小さな命の写真を撮るのが好きです。普段見えていないものが、好きをつづけると見えてきます。ファインダーで覗いて、クローズアップして、シャッターを押すと、その「いのち」はより輝いて見えます。
それらの写真は、Facebookにアップします。ときどきブログにも入れます。
https://solcafe.hatenablog.com/entry/2020/10/03/225950

これだけでもかなり十分ですが、実は、私のエネルギーの源は、子どもたちののびのび、すくすくなのです。先日こんなことを、Facebookのタイムラインに書きました。

 

【ライフワークの日々】

9月が終わり、10月に入りました。
相変わらず、野山・公園を歩いたり、おうちでゆっくり考え・書く時間を持ったり、家事もしたり、そんな週末を過ごしています。
週日はほぼ100%、学校に行っています。普段は、府中の放課後子ども教室「けやきッズ」に行き、9月には3回、ドリームマップ®授業で首都圏の小中学校に行きました。
毎日子どもたちとすごす、ライフワークの日々が続いています。一言でいえば、とても充実しています。
10月もそんな日々が続きます。ありがたいです。

ドリームマップ®授業は10月の後半に数校あり、11月12月も予定が入りつつあります。
そして、けやきッズには、毎日多くの子どもたちがやってきます。私も、何度もせがまれてお絵かきし、子どもたちの写し絵は、入れ代わり立ち代わり、毎日続いています。例年2学期に入ると、子どもの数がかなり減ってくるのに、今年は、同等か、逆に参加人数が増えています。一斉帰りの特別な水曜日や天気のとても悪い日を除いて、30人を下回る日はない状態です。今日も35人でした。2日前は、水曜日なのに30人もやってきました。
長年やっているスタッフの人も、今年の2学期の人数の多さには驚いています。
なので、毎日、子どもたちの楽しいから、たくさんの嬉しいをもらえています。
ありがとう!

※ドリームマップ®授業は、「NPO法人こどものみらいプロジェクト ゆめドリ」が提供する学校のキャリア教育プログラムです。

 

パート3: Solの未来を語る

私には夢があります。
今、コロナ禍や相次ぐ災害の中で、一般的には将来への希望はあまり見えていません。
しかし、私の周りにも、世の中にも(主に本からの情報)、みんなが幸せを感じられる社会へ向けた想いや行動がいっぱいあります。だから、これからきっと生きやすい世の中になっていくと信じています。

そう思うSolの夢は、人々がみんな人間らしい豊かな人生を生きている場「幸せの栖」ができていることです。その実現のためには、こうなりたい、こうしたいではなく、夢が実現した未来に立って語ることが大事です。

9月17日に、本当にステキないい会社、未来への希望を与えてくれる会社「石坂産業」を訪問しました。そこで学び気づいたことの総仕上げとして、私が実現したい夢「ここいまタウン」のデザインを、さらにアップデートしてみました。それはこちらに書いています。

https://solcafe.hatenablog.com/entry/2020/10/01/094926

パート1で書いたように、Solは遅ればせながら「社会人」になりました。
世間ではよく、定年退職後を「第二の人生」といいます。
Solの場合は、そうではないと思っています。「会社人」から「社会人」への過程で、還暦以降は、Solの「本当の人生」を生きようと思うようになりました。

もし、多くのシニアが、「第二の人生」ならまだしも、「余生」をおくってしまったら、これほどもったいないことはないと思っています。いまは、高齢者介護の充実を考えるよりももっと「シニアが生きがいを持って元気に生きる社会」を考える必要があると思うのです。

また、年齢が上がっていくにつれて、自己肯定感が下がっていく子どもたちを肌で感じています。子どもたちがのびのび、すくすく成長する。子どもたちは、本来そんな力を持っています。それを妨げているのは、満たされず、ゆとりのなくなった大人たちです。

大人が「育自」できれば、「すこやか、ゆとり、おおらか」が生まれ、子どもたちも元気でいられます。そのために、多くの人生経験をしてきたシニアの出番があると思っています。
子どもたちが「楽しい」と、大人やシニアはたくさんの「嬉しい」をもらえます。
子どもたちが元気になれば、大人やシニアは、そのエネルギーをもらって元気になります。
そんな「正のスパイラル」が生まれるのが「ここいまタウン」です。
その意味では、みんなが「育自」できているコミュニティともいえます。

このたび、このエッセイを書く機会を与えていただき、ありがとうございました。
あらためて、自分の過去・現在・未来を振り返り、考える時間ができました。
一つ言えることは、Solはいろいろやっているぞ! えらいぞ!ということです。

 

最後に、育自のための小さな魔法について触れます。
「育自の魔法」は、Solとして子どもたちへ意識が向いているので、あまり活動はできていませんが、年に一回だけ、江東区でやっています。今年で3回目になります。これです。

ありがとうございました。